地殻を物性的に見ていこう | 偕楽園血圧日記

地殻を物性的に見ていこう

 風が強かったなぁ。洗濯物が飛びそうだったよ。


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 愛媛・高知で震度6弱 地震学者「南海トラフ地震誘発ないだろう」


(図、毎日新聞より。17日午後11時14分ごろの各地の震度)

 17日午後11時14分ごろ、愛媛、高知両県で震度6弱を観測する地震が発生した。震源の豊後水道の辺りでは、深さ約30キロで陸側のユーラシアプレートの下に海側のフィリピン海プレートが沈み込んでいる。
 気象庁によると、今回の地震の震源は深さ約39キロ。香川大の金田義行特任教授(地震学)は「フィリピン海プレートの内部で起きた地震と思われる。マグニチュード(M)6・6と推定されており、南海トラフ地震を誘発するような地震ではないだろう。ただし、2月にも近辺で震度4の地震があり、活動が活発になっている。日ごろの備えを見直した方がいいだろう」と語った。
 山岡耕春・名古屋大名誉教授(地震学)も「震源の深さから見て、フィリピン海プレート内部で起きた地震とみられる」と指摘する。その上で「この場所の地震としてはかなり大きい規模の地震と言える。南海トラフへの影響はないとは言い切れないが、無視できる程度の規模の地震だろう」と分析した。

 京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)によると、豊後水道付近は2001年の芸予地震(M6・7)など、過去にも大きな被害を出した地震が起きてきたという。「今後1週間程度は地震が続くことを念頭に置いて備える必要がある」と注意を呼びかけた。【大野友嘉子、鳥井真平、垂水友里香】
 毎日新聞 4/18(木) 0:00

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 昨日少し触れたように、愛媛県地方で大きな地震があった。

 震度六弱といえば、東日本大震災の時の本市と同程度。「家の中がぐちゃぐちゃ」になってしまった人も多いだろう。
 あの時水戸では家屋被害はあまりなかったものの、大理石の塀が崩れたり寺社の墓がバラバラに倒れてしまったり、ビルの外壁にヒビが入るなどの被害が出た。
 駅ビルのなど完全に隙間ができるほどで……まあその位置はもともと「大きな地震の時にそこで壊れて全体の倒壊を防ぐための接合部」だったおかげでそのまま補修して営業を続けているが(汗)。

 とりあえずこの地震では、

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 愛媛・高知・大分で8人けが 地震から一夜明け住宅破損や国道に落石



(写真、朝日新聞デジタルより。地震による落石で通行止めとなった国道=2024年4月18日午前9時32分、愛媛県大洲市、朝日新聞社機から、相場郁朗氏撮影)

 17日夜に発生した豊後水道を震源とする地震で、愛媛県で5人、高知県1人、大分県で2人のけが人が確認された。
 四国電力は18日、運転中の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)で発電機の出力が約2%低下していると発表。点検と復旧までに1日程度かかる見通しだが、外部への放射線の影響はないとしている。
 JR四国によると、予讃線の特急「宇和海」を松山―宇和島駅(いずれも愛媛県)間で18日昼ごろまで運転を見合わせる。予土線は宇和島駅と窪川駅(高知県四万十町)の間で18日は終日運休する見通し。また、国土交通省によると、愛媛県大洲市の国道197号が落石のため通行止めになったほか、愛媛、高知両県の県道の一部で通行が規制されている。

 地震から一夜明けた18日、自治体や消防などは被害の確認に追われた。最大震度6弱を観測した高知県宿毛市では、住宅の外壁や窓ガラスが割れるなどの被害の報告が市に寄せられた。市によると、けが人の報告は現時点ではないが、40代男性が過呼吸を訴えて病院に搬送されたという。また、各地で水道水の濁りが確認され、最大で市内の約6割に影響する可能性があるとして、四国地方整>備局などに給水車の派遣を要請した。
 18日未明の宿毛市内を記者が歩くと、住宅の屋根瓦が落ちるなどの被害が確認できた。市内でラウンジを経営する小野田由美子さんは、大きな揺れに襲われ、店内のソファに倒れ込んだ。食器や酒瓶が床に落ちて割れるなどしたといい、「ここで生まれて68年、こんな地震は初めて。また余震があると聞くと怖くて眠れない」と話した。
 宿毛市は18日、すべての小中学校を臨時休校に決めた。県立宿毛高校(宿毛市与市明)では、渡り廊下の床がひび割れるなどの被害が出た。また、市によると、震度4を観測した同県土佐清水市と大月町の市町境で土砂崩れが起きたとの情報があるという。
 震度4を観測した高知県梼原町では、倒木と落石で町道が通行止めになり、松谷地区の5世帯10人が孤立状態となった。全員の無事が確認できているという。ほかにも落石や倒木で通行できない道路が2カ所あるが、18日午前中に解消できる見込みだという。
 震度6弱が観測された愛媛県愛南町。民宿を営む吉田由紀子さん(51)は、2階の自宅台所で揺れを感じ、とっさに食器棚を押さえた。家族や愛犬は無事だが、近くで水道管が破裂し、水があふれているという。「横揺れが10~15秒ほど続いた。津波の心配はないと聞いて安心した。海端なので、もし津波が来たら大事になる」と話した。
 同町御荘平城にあるコンビニの男性店員(28)は店内で洗い物の作業中に地震に遭った。「今までに感じたことのないような大きな揺れ」で、店内ではワイン5本が棚から落ちて瓶が割れ、カップ麺やスナック菓子などが散乱したという。
 愛媛県の中村時広知事は18日未明、県庁での災害対策本部会議後に報道陣の取材に応じ、「何よりも優先すべきは人命救助。今のところそういう報告は入っていないが、それを最優先にしたいと思う。伊方原発については揺れは確認されているが安全上の問題は発生していないことを確認している」と述べた。
 朝日新聞デジタル 4/18(木) 9:55

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 人的被害が小さかったのは幸いである。

 NHKの中継では「このあたりは大きな地震がないので古くて『重い』家が多く残っていて~」といっていたが、そのあたりはどうだったろう。


 ところで今回、メディアでは南海トラフ地震とこれを結び付けようとする動きがある。
 気象庁はマグニチュードから「これが南海トラフを誘発することはない」と結論付けているのだが……そう簡単に禁断していいものだろうか?
 なにしろ、何度も書いているように地震学者の多くはまだ地震の発生メカニズムを定性的に解明できていないのだから。

 NHKニュースでも「震源断層の深さが南海トラフのメカニズムと違う」と説明していたが、物理の感覚では「まるで違うとは言えないのではないか?」と思えてしまう。
 ここはやはり、(2016/05/30の記事、素人にきちんと話せてこその専門家)で取り上げた京都大防災研究所の西村卓也准教授(当時)のような人を呼んで、「歪み値」について説明してもらう必要がある。

 あれから八年。ウィキペディアによると2022年に日本地震学会理事となり、2023年には京都大学防災研究所教授となった西村氏に、潤沢な研究費は与えられているだろうか?
(2017/09/29の記事、裁判官は理科の勉強もしろ!)で書いたように、「唯一予知できる」としてきた東海地震ですら「「余地は不可能」と認めたのだから、今まで「何年前に地震があったから」とやってきたギャンブラーに回してきた予算を、こういう人の元に付け替えなくては。
 やってる?


 おまけ。

 今回の地震では人死にが出ていないためか、令和六年能登半島地震の際に大騒ぎしてデマを流しまくっていた「どこかの政党の支持者」たちもおとなしい。
 あの時「夜の歌に自衛隊送っていたら。ヘリを飛ばしていたら。岸田は人殺し!」とヒステリックに騒いでいた者は、上の朝日新聞の「一夜明けて被害が分かった」記事を呼んでどう思うだろう。
 まあ、彼らは「そんなことどうでもいい。ただ岸田叩きがしたいだけ」なのでこういう記事の目にも入らないのだろうけど。

 それでもメディアは、

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 地震後に伊方原発3号機の出力2%低下、規制庁「安全には影響ない」

 四国電力は18日、前日夜に発生した豊後水道を震源とする最大震度6弱の地震後、運転中の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の発電機出力が約2%低下したと発表した。地震の影響とみられる。原子力規制庁によると、安全への影響はないという。
 四国電によると、3号機では水平方向に33ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)を観測したが、自動停止する設定値190ガルを下回ったため、運転を継続している。
 17日夜の地震後、タービンに送る蒸気の加熱装置のタンクの水位計に不具合があり、発電効率が落ちたことで発電機出力が下がったという。四国電が原因を調べている。
 廃炉作業中の1、2号機に異常はないという。
 朝日新聞デジタル 4/18(木) 8:21

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 こういう記事を書いて煽ろうとし、お約束通りに「反原発」勢力がSNSで大はしゃぎしている。

「わからないように書いている」のか「記者自身がよくわかっていない」のか、朝日の記事は記載が不十分になっているが、この「タービンに送る蒸気」というのは、「二次冷却水」というやつである。
 伊方の三号機は「加圧水型原子炉」というやつで、原子炉の炉心を通して熱くなった「加圧水」の熱を熱交換器で「炉心に触れていない水」に移し、その「きれいな水」でタービンを回して発電する。福島第一のように「炉心を通って熱せられた水で直接タービンを回す」形式ではない、いわゆる「汚染水」に触れる範囲を小さくできる形式である。
 今回水位変動が観測されたのはその「タービンを回すきれいな水」の方で、これは普通の火力式発電所でも起きること。
 これで「原発廃止だ!」と騒ぐのは「もの知らず」のやることなので、自分の愚かさをさらさないように気をつけないと。


 本日の発見。

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 藤原定家直筆の「古今和歌集」注釈書を発見 専門家「国宝に値」


(写真、毎日新聞より。冷泉家に伝わる古今伝授箱から見つかった藤原定家直筆の「顕注密勘」=京都市上京区で2024年4月16日、加古信志氏撮影)

 鎌倉初期を代表する歌人、藤原定家(1162~1241年)が自筆した「古今和歌集」の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の原本が見つかった。子孫の冷泉家(京都市上京区)で保管する木箱を約130年ぶりに開けたところ、収められていた。同書の写本の中には国重要文化財に指定されているものもあり、原本について専門家は「国宝に値する」と評価している。
 定家らの古典籍を研究・保存する冷泉家時雨亭文庫が発表した。

 顕注密勘は、最初の勅選和歌集・古今和歌集について和歌の先人による注釈に、定家が自説を書き加えた注釈書。上・中・下の3巻からなる。木箱にあった3巻のうち中・下巻が、筆跡や紙の製法などから原本と判断された。上巻の原本は火災で焼失したと伝わっており、同時に見つかったものは写本だった。
 中巻は123枚、下巻は112枚でいずれも縦18センチ、横16・5センチ。記述の訂正や紙を足して書き加えるなど、写本ではわからなかった定家の推敲(すいこう)の跡も確認された。定家の思考が直接的にうかがえる貴重な史料と位置付けられる。

 木箱は冷泉家の蔵で保管され、存在は知られていたが、明治以降、開けられたことはなかった。原本が収められていたことで、和歌の奥義を伝承する「古今(こきん)伝授箱」であることが判明。歴代当主が一生に一度だけ開け、秘伝を継承してきたとされる。
 定家に詳しい久保田淳・東京大名誉教授(和歌文学)は「紙を貼り付けて書き足すなど、顕注密勘が成立するまでのありようが如実にわかる点で、これまでの写本とは段違いに価値がある。国宝級のご本だ」と説明する。【大東祐紀】
 毎日新聞 4/18(木) 18:00

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 NHKが以前冷泉家の特集番組を作ってその蔵を映していた時、「これはきちんと調べたらとんでもないものも出てくるぞ」と思って観ていたのだが、ほんとに「とんでもないもの」が出てきた。

 定家の直筆かー、すごいな。
(2023/04/12の記事、「悪者」を作って叩いて遊ぶだけでは……)で書いた細川幽斎は、この定家の記述を知っていたのだろうか?
「古今伝授」とはこの内容を教え伝えていくことなのだろうか?
 この幽斎から「古今伝授」を受けた智仁親王はそれを甥の後水を天皇に伝え、呉瑞夫天皇が冷泉家の文書が散逸しないように封印を命じたというし。

 こういうものはどんどん「書籍化」していろいろな人が読めるようにしてもらいたい。
 記事と写真にあるように、後から紙を貼りつけたり。「ワープロ機能」のない時代は大変だ。ちょっと前までは、こうやって推敲した原稿をさらに清書していたからなぁ。
 聖書の過程でまた「ここを直したい」というところが出てきたりして。
 原稿書きはいつまでたっても「満足」はできないから、見切りも大切だ(笑)。